2012年08月21日

『絵筆のナショナリズム』柴崎信三(幻戯書房 2011年)を読む

『絵筆のナショナリズム』柴崎信三(幻戯書房 2011年)を読んだ。藤田嗣治と横山大観という洋画と日本画で戦争画を積極的に描いていった二人の画家を描いたノンフィクション。

藤田についてはそれなれにフォローしているが、大観についてはあまり迫りきれていない。加えて著者のスタンスも戦争画についての検討とは別に旗振り役の藤田・大観という位置づけなので、なぜこの二人なのかという理由があまり説得的ではない。はじめに、で「東洋と西洋という異文化の衝突を探り、ジャポニスムとナショナリズムという二つの運動の相克を通して『メディア』としての絵画がとりもつ日本人の美のトポス<場>を見据えてみたい」とあるが、どうも中途半端な印象がある。これまでの研究書をなぞっている感もあり、独自性としてはオリエンタリズムとしての<ジャポニズム>が現在のクール・ジャパンに再生しているとする見方だが、それも安易に<日本の美>という概念を無前提に描いていて、それがナショナリズムの自己愛の表象として機能している、とするのはしばしば日本として語られる言説にみられる、類型的な見方に陥ってはいないだろうか。


posted by rosta at 14:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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