2014年07月27日

危うい中国の説話―『中国雑話 中国的思想』(酒見賢一 文春新書 2007年)

中国というのは歴史が長いのと。近代社会(ここでいう近代社会とは資本主義的なグローバル経済の社会である)に参入してきたのが遅かったので、けっこう謎というか、よくわからない部分も多い。そのあたりは『おどろきの中国』( 橋爪 大三郎、大澤真幸、 宮台 真司 講談社現代新書 2013年)にある程度は事情がフォローされている。
ただ、伝統的に流布されている逸話などは正面から解説している本は少ない。

中国雑話 中国的思想』(酒見賢一 文春新書 2007年)は
なかなか皆が知りたかったことなどを教えてくれる。なかでも仙人の項目はフィクション以外の問題も含んでいて、気功や太極拳などに仙人・仙道の実技の部分があるのでは、と書いている。
また、中国拳法、王向斎の項目では、武術の資料が少ないなかで基本的・歴史的に明らかにしようと苦闘していることが伝わってくる。






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2014年07月26日

華人の都市形成とチャイナ・タウン―『海域アジアの華人街』(泉田英雄 学芸出版社 2006年)など

南シナ海を中心に見立てて、その周囲の地域の中国系移民・華人の住居やコミュニティを具体的・歴史的に探った本で、詳細に現地調査も交えて報告している。

個人的には5章 植民地支配とチャイナタウンの項目が興味深かった。「街路の景観の整備―庇と連続歩廊」(188ページ)では街屋という装置でつくられている、という点である。
街屋は二つの特徴を指摘して、
街路に沿ってほぼ金一の間口幅で並んでいること
道端から1〜1.5メートル後退して建てられていること
としている。
おもしろいのは屋根付き通路の件で、日本の積雪地方には雁木(がんぎ)といいうものがつくられたし、バタフィアではカキ・リマ(マレー語)と呼ばれているということ。
シンガポールではラッフルズが都市計画(1822年)の一環としてアーケード付きのショップハウスを設定したという。さらにマレー半島でもイギリス保護領になるとともに都市計画が導入(1887年)されて、それが街を形成していった。たとえばマレーシアのペナン島ではプラカナン文化(中華系文化)ということで街並みが観光地となっている。

台湾では台湾近代化としてアーケード設置が進められ、日本統治時代も引き続き推進していった(残念ながら最近では再開発で取り壊されて、近代的な普通のビルになってしまってきている)。伝統的な中国建築では亭子脚や騎楼と呼ばれるアーケードがあるが、この本では公的歩廊として設置されたものではない、として景観整備が主要目的だったのとは違って、熱帯の日よけと雨よけの目的が大きいと指摘している。




海域アジアの華人街』(泉田英雄 学芸出版社 2006年)

いっぽう
中国の歴史都市―これからの景観保存と町並みの再生へ』(大西 国太郎+朱 自(火に宣の文字)編 鹿島出版社 2001年)
は中国の歴史的都市と街をコンパクトに説明して、現状の保存状態と今後の景観保存の問題点など完結に叙述されている。図版・図面も豊富でまとまっている。ノンブルが真ん中にあるのは探しづらい、このような類の本はついては常に目次からページをチェックする可能性が高いため、おしゃれなデザインよりも機能性を重視すべきである。


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2014年07月17日

西欧近代批判として機能するか? 「いまなぜ儒教か」(『現代思想』2014年3月号 青土社)の特集を読む。

「現代思想」(2014年3月号 青土社)の特集「いまなぜ儒教か」を読む。東西冷戦が終結し、歴史が終焉したとも語られた現代ではあるが、西洋近代とそれに追いつき追い越せとばかりに経済成長にまい進してきた戦後日本社会のあり方を根底から批判する視座が求められていると感じる。

たとえば保守派と目される京都大学の佐伯啓思は、『「欲望」と資本主義』(講談社 1993年)など近代(現代)社会と経済を批判する一連の著作を上梓しているが、それを突破ないし、克服する道は示されてはいない。さしあたり読み取れるのはかつての伝統的な慣習・規範の再評価らしいが(?)さすがに戦前が良かったとは言っていない。さてその場合参照されるのは具体的にはなんだろうか?

それは加地伸行がいう「教養」なのかもしれない。簡単にいえば倫理の再考であり、社会の再定義である。西欧近代の帰結である「自由主義」の限界というか、経済の自由主義によって人間や社会がきしみだしていることについての批判として権威や秩序の再考である。

西欧近代批判として機能するか?





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2014年06月28日

曹操と孔明―ドキュメンタリーでまるわかり

地デジになるにあたりテレビを棄ててしまったので、所有していないせいもありテレビは見ていない。たぶん最近のNHKだろうが、珍しいのは歌手の吉川晃司が旅人として出演している点。ロックのとんがったキャラクターゆえ、ミスマッチではないかと思えたが、さほど違和感はない。

もともとヤンキー的でもあるので伝統や歴史に関心があるのかもしれない。もっとも年齢もそれなりに重ねているわけで、中国の古代の伝説を探るような案内役をやるような立ち位置になったということなのだろう。彼も頭に白いものが目立つようになっているし。



曹操の頭蓋骨が割れていた、という導入など面白い。
河南省の安陽という村から曹操の墓が2010年に発見されたということで、彼が訪ねていく。
http://www.nhk.or.jp/bs-blog/100/183342.html

今回は、曹操については近年発見された曹操墓(河南省・安陽)を取材、歴代の皇帝たちと並ぶほどの巨大な規模の墓、そして墓から出土した副葬品の数々を紹介してゆきます。中でも曹操が生前に使用していたという「石枕」、また海外のメディアに初公開の曹操とされる頭蓋骨からも、意外な事実が浮き彫りとなり曹操の実像が明らかになってきます。

そして、諸葛孔明。映画やドラマなどでご存じの孔明は、「赤壁の戦い」で大活躍します。しかし、孔明は「赤壁の戦い」に参加してないのでは? そんな疑問から導かれる実像とは?



関係ない話だが中国の研究員の人々が出演しているが室内であるにも関らず、みんな厚着というか着込んでいる。暖房がないせいだろう。まあよくあることなんで、別に驚きではないが、あらためてみると大変だなと感じる。

曹操は三国志演義では悪役として描かれているが、実際は合理主義者で人心掌握に長けていたという話。






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2014年06月16日

植民地時代の建物を修復/台湾・台南市「ハヤシ百貨店」

百貨店/デパートは近代の都市の象徴のような気がする。例えばロンドンの「ハロッズ」やパリの「オ・プランタン」は高級品を扱い、富裕層が買い物をするという。富と消費を象徴するようなものだった。

個人的体験でいっても、子どもの頃の田舎の地元のデパートは唯一の遊興地だったし(当時は屋上に遊戯施設があり、休日は家族でデパートの食堂で食事をするのは楽しみであり、贅沢であった)、商品はなんでも置いてあった。

今は家電量販店やスーパーに押されて、存続の厳しい地域もあるが、それでも老舗というか商品販売の王様のステータスを持っているし、<高い価値>という幻想を、場と空間で演出できる唯一の存在なのではないか。

以下は毎日新聞サイトから
日本統治時代に開業した「ハヤシ百貨店」が復元され、「林百貨」として再びオープン。和服や昔の学生服姿の若者らがパレードし開業を盛り上げた=台湾台南市で2014年6月14日、鈴木玲子撮影

【台南(台湾南部)鈴木玲子】日本統治時代の1932(昭和7)年に台湾南部・台南市で開業したデパート「ハヤシ百貨店」が復元され、14日に商業施設「林百貨」として再びオープンした。ビルは5階建て(一部6階)で左右対称のアールデコ様式。南部で最初に設置されたエレベーターも復元されるなど「昭和モダン」の趣を随所に感じさせる。


http://mainichi.jp/select/news/20140615k0000m030053000c.html




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2014年06月15日

台湾で植民地時代の百貨店が修復されてオープン!

「台湾 日本統治時代の百貨店が復活」とNHKニュースが伝えている。6月14日69年ぶりに営業を再開したという。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140615/k10015230081000.html
この百貨店は1932年に日本人実業家が台湾南部の台南市に建てた「ハヤシ百貨店」です。


確かに外観や店内などは1930年代のアールデコ様式を伝えている。エレベータなどもレトロな雰囲気だ。

意外と小さく狭いがなかなかいい雰囲気。

http://blog.xuite.net/tayjih/gogo/112238249-%E3%80%902013+Fun+%E6%9A%91%E5%81%87%E3%80%91%E5%8F%B0%E5%8D%97%E6%9C%AB%E5%BB%A3%E7%94%BA%E6%9E%97%E7%99%BE%E8%B2%A8


以下は毎日新聞サイトから
日本統治時代に開業した「ハヤシ百貨店」が復元され、「林百貨」として再びオープン。和服や昔の学生服姿の若者らがパレードし開業を盛り上げた=台湾台南市で2014年6月14日、鈴木玲子撮影

【台南(台湾南部)鈴木玲子】日本統治時代の1932(昭和7)年に台湾南部・台南市で開業したデパート「ハヤシ百貨店」が復元され、14日に商業施設「林百貨」として再びオープンした。ビルは5階建て(一部6階)で左右対称のアールデコ様式。南部で最初に設置されたエレベーターも復元されるなど「昭和モダン」の趣を随所に感じさせる。


当時のデザインを生かした店内=台湾台南市で2014年6月14日、鈴木玲子撮影

http://mainichi.jp/select/news/20140615k0000m030053000c.html




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2014年06月13日

ヤン・レーピン/楊麗萍の舞台を観る

ちょい前の話だが、渋谷のオーチャードホールにいってヤン・レーピンの「孔雀」を観てきた。
Bunkamura25周年記念 ヤン・リーピン「孔雀」 | Bunkamura
http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/14_liping/

聖と俗を併せもつ舞台というか、抽象性と具体性をうまくミックスさせたものと言えばいいのか。
さらに言えば商業性と芸術性をもうまく表現できている。難を言えば後半がやや尻つぼみ的になってしまうのが残念に感じてしまう。

それにしても約三時間休みなく正面脇の特別な演台の上で、くるくる廻り続ける少女はすごい。彼女は時の精で時間を表しているのだが、その衣装とたたずまいがなんとも幻想的であった。

これはレーピンの別のダンス


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2014年06月09日

遅咲きのカンフースター、ドニー・イェン/Donnie Yen

ドニー・イェン(甄 子丹、Donnie Yen)て、なじみがなかったが、最初に私が知ったのはチャン・イーモウの映画『HERO』だ。

雨のそぼ降る古寺のような場所。東屋が連なる中庭で盲目の老人が弾く琴の独奏を聴きながら、ドニー・イェン粉する槍の名手(なんか日本のテレビ映像などで見る佐々木小次郎ぽい)がジェット・リーが決闘する場面だ。この殺陣、CGやワイヤーアクションを使い好みが分かれるところだが、映像としては凄みがあった。ここで殺られたのはイェンだったがやたらかっこよかった。それから気になってはいたが、寡聞にして名前を目にする機会はなかった。

そしてついにブルース・リーの師である葉問(イップ・マン)を描いた『イップ・マン 序章』(2008年)がヒット、続いて続編の『イップ・マン 葉問』(2010年)が前作を超えるヒットとなり、香港映画界のトップとも噂されるようになった。

Donnie Yen - Dragon (Wu Xia) 邦題『捜査官X』(2010年)予告編


『武侠』 (Wu Xia) こと邦題で『捜査官X』は、中国・雲南の田舎の村に暮らす紙職人(ドニー)がひょんな事から強盗事件に巻き込まれて、二人の強盗が倒す。その事件を捜査に来た刑事(金城武)が職人を調べていくうちにただものではない、と疑いを抱いていく過程がなかなかスリリングである。いっけん純朴な男のようだが裏があり、最後は驚きのアクションが展開されるのだが、これはネタばれになるので詳細は伏せておこう。


彼の場合は一見するとやさ男なので、強そうに見えないが、そこがいいのだろう。



こちらはモダンは香港ルノワールチックな感じで、ナイフと警棒の殺陣アクションが斬新だ。
ちょっと日本代表の長谷部誠に似てる。

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2014年06月06日

上海にジャッキー・チェンのミュージアムがオープン

ジャッキー・チェンが還暦だという。しかし若いね。

『ジャッキー・チェンフィルム・ギャラリー in 上海』が2014年5月1日、中国の上海に「がオープンしました。

出典 www.narinari.com


内部はこんな感じ(出典 lh4.googleusercontent.com

以下はジャッキーが各国語で挨拶して、ミュージアムを案内する





posted by rosta at 15:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・風俗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月27日

『ゴジラとは何か』ピーター・ミュソッフ著/小野耕世訳(1998年 講談社)

『ゴジラとは何か』ピーター・ミュソッフ著/小野耕世訳(1998年 講談社)アメリカにおけるゴジラ映画とゴジラというキャラクターの受容を描いた本。
批評家のスーザン・ソンタグは東宝の特撮映画などをキッチュと類似する概念として「キャンプ」という言葉を提唱した。
この本のなかでゴジラというものが、それに近いものとしてアメリカでは受け止められている。具体的にはベンという東部に住む平均的な大学生の手紙を紹介して、多くのアメリカ人はゴジラ映画は「ガラクタ」の集約であるという。「低予算と短い製作期間によって生み出された製作者の創意工夫、心意気、愉快なナンセンスを楽しみたくて」見るのだという。(P20)
他にも対抗文化との関連(アメリカのファンはヒッピー的な人)、他者としての東洋(日本の象徴)としてみる、核エネルギー=近代文明批判、オリエンタリズム、悪のイメージとして描かれる等々…。

この本はハリウッドでゴジラがつくられた後に書かれたために、ハリウッド版ゴジラについて言及するなかで、アナログゴジラを擁護している。ゴジラの醍醐味は「ミニチュアの都市、乗り物などの模型と、そこをボディ・スーツのゴジラがのっしのっしと歩きまわるという、この上ない楽しさにあったのだから」と日本のオタクたちとほぼ同様の視点で魅力を感じている。


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